韓国の食事マナー

総合理工学部電子制御システム工学科 伊木雄一

食生活はその国の文化を象徴する特徴的なもの。同じ箸を使うという文化を持つ韓国と日本だが、食事の作法は少しずつ異なっている。その韓国の食事マナーと、日本との違いを調べた。

○ 食事をする際の食器の扱い方

日本:片手で食器を持ち上げ、箸でご飯を食べる。
韓国:食器は置いたまま、スプーンでご飯を食べる。

韓国で食器を持ち上げて食べることは礼儀正しくない。韓国の食事の基本は、日本と同じご飯と汁物。しかし食器の使い方は異なる。

日本:常に箸を使って食事する。スプーンは外からの文化で洋食などで使われるが、今ではどのようにでも使われ るようになった。
韓国:常に匙を使って食事する。ご飯と汁を食べるときは匙、箸を使うのはおかずを食べるときだけ。箸を使って汁を飲んだり、ご飯を食べるのは失礼になるそうです。

韓国の匙や箸は銀で作られたものが使われていた。これは食事に毒が入っていないかを知るためだった。

○ 食べ方

日本:ご飯に汁物をかけて食べることはしない。
韓国:汁にご飯をかけて食べることは一般的なこと。

日本ではご飯に味噌汁をかけて食べることを好む人もいるが、人前でその食べ方はあまり行儀がいいとは言えない。しかし韓国では混ぜることは一般的な食べ方である。

その他の韓国での食事の際のマナー

・ 大人数がテーブルを囲んで食事をするときは年長者を中心に料理を並べる。
・ 年配者と食事をするときはまず年配者が匙と箸を取り、それから食事が始まる。
・ 食べながら話をしない。
・ ひじをついたり、新聞を読みながらは良くない。
・ 食事中はおしゃべりしすぎたり、その場にそぐわない話は慎む。

などのような決まりもあるが、この辺りは日本とも変わらない。韓国の伝統的なお膳立てでは食器の並べ方にも決まりがある。右から箸、匙、汁、ご飯。料理では左に冷たいものと乾き物、右に温かい料理と汁物となる。日本でもテーブルに食器を並べるときは左にご飯、右に味噌汁のようなきまりがある。しかし、このような食事の文化も時代の流れに伴って食べやすいように簡素になっている。

○ 酒の席でのマナー

韓国では人間関係を築くためや、人との親密度を測るために酒を酌み交わすことが多い。そのため食事と同じように酒の席でもマナーは必要である。

・ 目上の人の前では堂々と飲み干さない。
・ 杯の底を目上の人に見せない。
・ 相手に酒を注ぐのはグラスや杯が空になってから。
・ 注ぐときはビンを片手で持たず、もう一方の手を必ず添える。注いでもらう方も両手で持つ。

このようなマナーは日本とも似たようなものだが、それが日本人の場合まともに出来ることは少ない。しかし韓国では礼儀を重視する風土が、このようなマナーを定着させている。そこが日本と違うところと言える気がする。

最後に韓国には「ラブショット」というグラスを持った人同士で腕を絡めて酒を飲む儀式がある。これは本来、男女で行うものだったが、男同士でも女同士でも友情や信頼を確認し深め合うために行われるようだ。儀式といってもそれほど深い意味はなく、大勢で飲みに行って何人もの人と行うこともあったりするらしい。